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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
三人は口々に何かさけんで、筏の上に身もだえしていますが、その声も、例のあやしい物音に消されて、よくは聞きとれません。
やがて、洞穴のまがり角にさしかかり、筏はすばらしい勢で、大きな岩角を通りすぎました。そして、それと同時に、少年たちの口から、悲鳴がほとばしったのです。
おお、ごらんなさい。今や、あの真赤な光るものの正体が、まざまざと少年たちの目の前に、姿をあらわしたのです。
洞穴はそこで、汽車のトンネルの十倍もあるかと思われる広さになっていましたが、その五六十メートルむこうの水面の真唯中から、高い岩の天井にむかって、目もくらむばかりの火の柱が立ちのぼっていたのです。それは、哲雄君が想像したとおり、地の底の噴火口だったのです。
火の柱そのものは、赤いというよりは、白く見えました。白熱の光です。水面から吹きだしたところでは、四五十センチの太さですが、上の方ほどひろがって、二十メートルもある岩の天井にぶっつかると、まるで噴水のようにパッと四方にひらき、光の粉となって下におちて来るのです。
少年たちはあまりのこわさに、もう気を失わんばかりでしたから、何を考えるひまもなかったのですが、もしその火の柱に危険がないものとすれば、世にこれほど美しい景色は、またとないといってもよかったでしょう。