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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
泣きくたびれた三人は、筏のまんなかに一かたまりになって、死んだようにグッタリとしていました。眠っていたのかも知れません。イヤ、眠るなんてのんきな気持になれるものですか。眠ったのではなくて、頭がしびれたようになって、夢うつつの境をさまよっていたのです。
どれほどの間、そうしていたのでしょう。あとになって考えても、三人はその時間の長さをハッキリ思い出すことは出来ませんでした。たった一時間ほどのようにも思われました。又、二日も三日もたったようにも感じられました。
最初気がついたのは、保君でした。保君は三人の内で、一ばん物に感じやすいのです。笑うのも泣くのも誰よりも早いかわり、目や耳や、皮膚の感じもすばやいのです。
夢うつつでいた保君は、何かかすかな風のようなものが、頬のあたりをかすめて行くのを感じました。
やっぱり何も見えない暗闇の中ですけれど、どうも今までとはちがったことが起っているように思われたのです。「オヤッ」というような気がしたのです。
そこで、保君はすばやく頭をあげて、あたりをキョロキョロ見まわしました。しかし、右左、前後と見まわしても、何も見えません。