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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
「食いしんぼう」なんて、からかうどころではありません、ありがたくって拝みたいくらいです。
おなかがふくれてしまうと、三人はボートの中に横になって、グウグウ寝こんでしまいました。あんなにひどい働きをした上、一晩中眠らなかったのですから、もう我慢にも目をあいていられなくなったのです。
静かといっても大洋のことですから、時々大きな波のうねりが襲って来るのですが、三人はもうそのくらいのことにはおびえません。グウグウいびきをかいて眠りつづけるのでした。
それから二日間は、何事もなく過ぎ去りました。三人が待ちに待っていた汽船は、一向通りかかる様子もありませんでしたが、海は鏡のように静かでしたし、食料はありますし、命には別状もなくすごすことが出来ました。
何より困ったのは、赤道に近い太陽の熱さでしたが、三人は残っていた一本のオールをボートの中に斜に立てて、みんなの上着をつないで日覆のようなものをこしらえ、やっと熱さをしのぎました。
それに、南洋では、どんな天気のよい日にも、一日に二回も三回も、スコールという夕立のような雨が降りますので、その度に体中がずぶぬれになって、暑さを忘れ、その雨を両手にうけて、かわいた喉をうるおすことも出来るのでした。