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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
でも、それは今生きているというだけのことで、とぼしい食料がつきてしまえば、もうおしまいなのです。それまでに汽船が通ればよいけれど、もし通らなかったら、誰も知らない大洋の真中で、うえ死しなければならないのです。世の中にこれほど心細い恐しいことが、またとあるでしょうか。気の弱いものは、それを考えただけでも死んでしまうほどです。
ところが、アア、何という運の悪いことでしょう、少年達の行手には、もっと恐しいことが待ちかまえていました。汽船が通らないとか、うえ死をしそうだとか、そんな心の中の苦しみではなくて、もっとさしせまった命がけの危難が、三人の上におそいかかって来たのです。
それは、海の上では何よりも怖い暴風雨でした。賊の船を逃出した夜も、風が吹きましたけれど、嵐というほどのものではなかったのですが、今度はほんとうの嵐がやって来たのです。海の魔物が小さなボートを一なめにしようと、恐しいうなり声を立てて攻めよせて来たのです。
二日目の夜のことです。ボートの中で、心細そうに話をしていた三人の頬を、とつぜん、ヒューッと音を立てて妙な風が吹き過ぎました。
「アレ、今のなんだろう。