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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
「ウン、人間だよ、人喰人種だよ。やっぱりあの時、先生がおっしゃったじゃないか。南洋の島の開けない地方には、まだ今でも首狩をする野蛮人がすんでいるって。首狩人種がいるとすれば、人喰人種だっているかも知れないよ」
「ア、そうだ。南洋の野蛮人は、毒矢の名人だね」
話せば話すほど、恐しいことばかりです。森のしげみの間から、そのドス黒い顔をした野蛮人が、ギロギロ目を光らせて、ジッとこちらを見ているのではないかと、もう気が気ではありません。
「ねえ、こんなところにいないで、早く海岸へもどろうよ」
ちゃめの保君が第一番に弱音をはきました。そして、三人が元の椰子の林の方へ引返そうと歩き出した時です。哲雄君が何を見つけたのか、とつぜん立ちどまって、さけびました。
「ア、あれをごらん。ホラ、あのむこうの大きな木をごらん」
一郎君と保君は、びっくりして、哲雄君の指さす、はるかむこうの大きな木をながめました。
「ワア、きれいだね。まっしろな花が一ぱい咲いている。でも、なんてでっかい花だろう」
二十メートル以上もあるような大木の、こんもりとしげった、青々とした葉の間に、大きな白い花が一面に咲いているのです。