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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
岩山の海に面した側は、先にもいった通り高い断崖になって、それがズーッとむこうの方までつづいているのですが、断崖の前の海面には、大小さまざまの形の岩が、ニョキニョキ頭を出していて、それに波頭がぶつかって、白く泡立っています。その内の大きな二つの岩にはさまれて、一艘の帆前船が沈んでいるのです。
帆柱は折れ、甲板上のいろいろな道具は何もかもメチャメチャにこわれ、船体の三分の二は海に沈んで、舳先の方だけが、ニューッと海面につきだしているのです。
「昨日のあらしにやられたんだね。僕たちも、ここへ吹きつけられたら、あの船と同じ目にあっていたんだね」
保君が柄になくしんみりした声でいいました。
「帆前船だというので、僕はあの海賊船かと思ったが、そうじゃないね」
「ウン、まるでちがうよ。海賊船はもっと大きいし、色もちがうよ」
その時、じっと沈没船を見つめていた哲雄君が、はじめて口をききました。
「僕たち、あの船へ行ってみようじゃないか。もしあの中に、まだ生きている人があったら、助けてあげなければ」
「でも、どうして行くの? このけわしい断崖をおりることなんか、とても出来やしないよ」