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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
その間、少年達は一日に何度も椰子の実をもいで、うえをしのぎ、真昼のあついさなかと、夜なかには、洞窟のかたい岩の上に、ゴロリと横になって眠ったのです。猛獣におそわれては大へんだというので、洞穴の入口には、森から切って来た木で垣のようなものを造って、戸のかわりにしました。
そのまる二日間には、いろいろ恐しいことや、おかしいことがあったのですが、それを一々書いていては、かんじんのお話がおくれますので、残念ながら、それらの出来事ははぶくことにします。
さて、三少年は、朝の海の静かな時をえらんで、ボートを海に浮かべ、妙なかっこうの手製のオールをあやつって、断崖の下の難破船に近づいて行きました。
近づいて見ますと、それは案外大きな帆前船で、その舳先の方が三分の一ほど、斜にニューッと海面からつき出して、奇妙な三角形の塔のように、空にそびえているのです。
そのへんは岩の多い波のあらい場所ですが、今はまったく波がなく、ズーッと底の方まで見すかせる美しい青い水が、気味の悪いほどしずまり返っています。
「オーイ……」
一郎君が、ボートの中から、大きな声をはりあげて、沈没船に呼びかけてみました。