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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
「まだいろいろ見せるものがあるがね、マア、ここで一ぷくしよう。ここが俺の部屋だよ。どうだい可愛い部屋だろう。ところで、君たち喉がかわかないかね。コーヒーを一ぱいごちそうしよう。ちょっと待っていたまえね」
水夫長はひとりでしゃべって、少年たちが何も答えないのに、そのままそそくさと、どこかへ出て行きましたが、やがて、銀色の盆にコーヒーの茶碗を四つのせて帰って来ました。
「サア、えんりょなくやりたまえ。船のコーヒーは、とてもうまいぜ」
少年たちはすすめられるままに、コーヒーを受取って、三人ともそれを飲みほしました。何だか普通のコーヒーよりにがいような気がしましたが、喉がかわいていたものですから、ひとたらしも残さず、飲んでしまったのです。
「ハハハハハハハ、みんな飲みっぷりがいいぜ。一息にやってしまったね。サア、もうちっとここで休んでね。それから面白いものを見せて上げるよ」
水夫長は何か意味ありげに言って、にやりと妙な笑い方をしました。そして、少年たちの様子をじろじろとながめているのです。
三人の少年は、小さな木の椅子に腰かけて、水夫長の顔を見ていましたが、そのにやにやしている顔が、スーッと遠くなって行くように思われました。