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しんたからじま

新宝島

江戸川 乱歩

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页

青空文庫

かしこい哲雄君は、あの理科の知識を応用して、火を燃やすことを考えついたのでした。

間もなく、枯草はチリチリと黒くこげて、うすい煙を立てはじめました。哲雄君は一生けんめいになって、じっと焦点をあわせています。そうして一分間ほども、しんぼうづよく、同じところをこがしていますと、とうとうその黒こげの中から、チラッと小さな焔が燃え上りました。

「しめた!」

哲雄君は思わず叫びました。その小さな焔は、見る見るひろがって行くのです。枯草はもう一面の火となって燃えはじめました。

哲雄君は大急ぎで、そのへんに落ちている木のけずりくずを拾い集めては、枯草の上にソッとのせて行きます。きのうオールをつくった時のけずりくずが、たくさんあるのですから、火さえつければ、あとはもうしめたものです。

あの小さなレンズの焦点でつくった火が、今はもう大きな焚火になって、パチパチと木のはぜる音と共に、白い煙がいせいよく空に立ちのぼっています。

そうして、火をたやさないように注意しながら、三十分ほども待っていますと、うしろの森の方から、保君の元気な声がひびいて来ました。

「ワーッ、燃えてる燃えてる。