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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
哲雄君はその岩角から六十センチほどはなれた地面に、例の洋酒の樽をおいて、その中に、椰子の実の肉の干したのを、どっさりつめこみました。椰子の実は、この仕事をはじめた日、たくさんもぎ取って、中の白い肉を天日に乾かして、用意しておいたのです。そして、その上から、あの独楽のような丸い板を、棒の方を上にして、ふたをしました。まわり二十センチもあるその棒は、ニュッと樽の上につき出ているわけです。
それから、最初につくった四メートルもある長い棒を、三人がかりで、その場に運び、棒の一方の端を、さっき言った地面とすれすれの岩角の下へ突込んで、動かぬようにしておいて、一方の端をグッと高く持ち上げました。
そして、その棒がさっきの樽の中から突出している棒の上に、Tの字形に乗るようにして、棒と棒とを丈夫な紐でくくりつけたのですが、すると、長い棒は、ちょうど井戸のポンプの柄をグッと上におし上げたような形になりました。
「サア、みんな、棒の先にぶら下っておくれよ」
哲雄君のさしずで、二人の少年はその空にはね上っている長い棒の先の方へ、椅子をふみ台にして、両手でぶら下り、二人の体の重みで、ちょうど井戸のポンプをくむように、下へ引下げようとしました。