轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
08 第八分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 页
「いや、いや、ほんとだぞ」
秀吉は大真面目にいうのであった。
「ふたり限りで、この御堂の素莚に坐っておると、ふたりが祝言いたした清洲時代の――あの弓之衆長屋が思い出されるではないか。そなたの羞らう容子、また、良人を迎える心からな容子。すべてが、その頃の楽しさに返って来る。余りに馴れた夫婦というものは、時に二、三年ほどは別れてみるもよいものじゃ」
「それは殿方のお気持でございましょう。女房心はまた少しちがいまする」
「そうかな。……ふうム、どうちがう?」
そのとき本堂の袖部屋に、ざわざわと人のけはいがした。睦まじくはなしこんでいた夫婦はあいだを措いて向き直った。見れば一族近親の老幼たちであった。ともあれ殿様へ御挨拶をというので、各※(二の字点、1-2-22)、多少衣服を改めてこれへ拝しに来ているのだった。
「おう。誰も達者よな。誰も無事でおったの。よかったよかった」
秀吉はそれらの者一同へ、いちいちことばをかけて、息災を祝した。やがて、一浴の後、べつな室に夜食のしたくが調うと、それらのうちの主なる者も加えて、賑やかな内輪の晩飯をたべた。
一家の者は、この主を中心として、心ゆくまで団欒の夕を過した。