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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

08 第八分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 页

青空文庫

そしてまた、横になった。

どうやら本当に寝ついてしまったらしいので、同朋衆も侍たちも、次へさがって、そっとしておいた。

大評議の広間とこことは、幾つもの間数をへだてているので、秀吉が立った後、どうなったことか、気配も知れない。

だが、ちょうど同朋衆が、頻りと午を告げていた折でもあったから、秀吉の中座を機会に、どうやら午食の休憩に入ったらしくも思われる。

一刻ほどの時が経った。

そのあいだ、七月の真昼は、かんと照りつけるのみで、一城の広さは、事もなげに静かである。

そして、次の風雲を孕み、明日の世代を分つともない一朶の夏雲が、清洲の上に、じっと、動きもせずあった。

「筑前どの。御気分はどうじゃ。……落着かれたかの」

いつの間にか、枕許に、丹羽長秀が来て坐っていた。うしろに清洲の侍もひかえていた。

「……ウム? ……おう」

秀吉はむくと肱を立てて、長秀の顔を見、急に気がついたかのように、

「やあ、失礼を」

と、坐り直した。

「柴田殿が、迎えて来いといわるる。……はやお越しあるがよい」

「評議は」

「貴公が座にいなくては、評議にもならぬ。――ともかく参られてからと、柴田殿のことばだが」