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にほんせいしんしけんきゅう

日本精神史研究

和辻 哲郎

推古時代における仏教受容の仕方について「思想」1922(大正11)年7月<br>仏像の相好についての一考察「思想」1922(大正11)年5月<br>『万葉集』の歌と『古今集』の歌との相違について「思想」1922(大正11)年8月<br>お伽噺としての『竹取物語』「思想」1922(大正11)年11月<br>『枕草紙』について「思想」1922(大正11)年9月<br>『枕草紙』の原典批評についての提案「思想」1922(大正11)年9月<br>『源氏物語』について「思想」1922(大正11)年12月<br>「もののあはれ」について「思想」1922(大正11)年10月<br>歌舞伎劇についての一考察「思想」1922(大正11)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 页

青空文庫

その時悪風が吹きいでて、船中は大騒ぎになった。するとその騒ぎで自分の痢病は止まってしまった。彼はこのことからも一つの真理を見いだしている。「心的の緊張は肉体の病に打ち克つものである」(同上第五)。

彼は宋に入って天童如浄に就いた。如浄は「名を愛すること」を「禁を犯すこと」よりも悪しとする人であった。(なぜなら犯禁は一時の非である。愛名は一生の累である。)彼は一生の間帝者と官員を遠ざかり、まだらなる袈裟をつけず、常に黒き袈裟子を用いた。そうして十九歳より六十五年の間、時に臀肉の爛壊することがあっても、緊張した坐禅の生活は絶やさなかった。道元はいう、「まのあたり先師を見る、これ人に逢ふなり」(正法眼蔵行持)。

道元の天童禅院追懐は、如浄の鍛錬の仕方をつぶさに語っている。――如浄は、夜は二更の三点まで坐禅し、暁には四更の二点より起きて坐禅する。弟子たちもこの長老とともに僧堂の内に坐するのである。彼は一夜もこれをゆるがせにしたことがない。その間に衆僧は多く眠りに陥る。長老は巡り行いて、睡眠する僧をばあるいは拳をもって打ちあるいは履をぬいで打つ。なお眠る時には照堂に行いて鐘を打ち、行者を呼び、蝋燭をともしなどする。