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にほんせいしんしけんきゅう
日本精神史研究
和辻 哲郎
推古時代における仏教受容の仕方について「思想」1922(大正11)年7月<br>仏像の相好についての一考察「思想」1922(大正11)年5月<br>『万葉集』の歌と『古今集』の歌との相違について「思想」1922(大正11)年8月<br>お伽噺としての『竹取物語』「思想」1922(大正11)年11月<br>『枕草紙』について「思想」1922(大正11)年9月<br>『枕草紙』の原典批評についての提案「思想」1922(大正11)年9月<br>『源氏物語』について「思想」1922(大正11)年12月<br>「もののあはれ」について「思想」1922(大正11)年10月<br>歌舞伎劇についての一考察「思想」1922(大正11)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 页
しかし位田功田の場合には、その領主は自ら経営し、小作人をして作らしめ、その小作料を自ら徴収しなくてはならぬ。この際民衆は、もし貴族にして驕慢ならば、その小作を回避することもできるであろう。なぜなら彼らは口分田によって生活を保証されているからである。従って位田功田職田等の経営がしばしば貴族を不利の地位に陥れたことも容易に察せられる。「王公諸臣多く山沢を占めて耕種を事とせず、競つて貪婪を懐き空しく地利を妨ぐ。もし百姓柴草を採る者あれば、仍つてその器を奪つて大に辛苦せしむ。しかのみならず、地を賜はること、実にたゞ一、二畝あるも、これにより峰をこえ谷に跨りて浪りに境界となす、自今以後更に然ることを得ざれ」(前引、慶雲三年詔)というごとき言葉は、明らかに貴族と農民と軋轢を語るものである。すなわち貴族は、百姓が彼らの従順なる小作人たらざるゆえに、きわめて子供らしき方法をもって百姓に復讐し、その鬱憤を晴らしているのである。これらの事情によって察すれば、貴族は賜田よりも食封を好み、従って食封の増額という形勢を引き起こしたのであろう。かく解すれば位田と食封とは、久米氏の説くごとく全然同性質のものとは見られない。