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にっき

日記

宮本 百合子

20 一九三六年(昭和十一年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 15,424 字 · 32 页

青空文庫

四月四日

四月五日

西野先生の廻診。

四月四日(土曜)

〔発信〕後藤郁子、青楓、河合勝夫、イ。

○きのうの雨があがって、いかにもいい心持の快晴。

○むこうの外苑のこまかい椎の木の葉が澄んだ日の光にこまかく光って、小豆色っぽい光をてりかえしている。

○一台自転車に二人の中学生がのって行く。ちらりと垣根越しに。「この自転車、やに低いんだねえ」

〔欄外に〕湯、壺

四月五日(日曜)

○スエ子、疲れたダルイと云って、ふらふらしていたが、やがて本を見に三越に出かける。

○自分、二階10の父上の部屋のところを見物に行き、売店の前の庭へ出て、コンクリートの池の傍で一時間ほど雑誌をよむ。

二十七日にかえってから今日まで、満たされぬ心持のしたものを、この巻頭論文(森戸)無産政党進出の国際的必然性についての論文によって充されたような心持がした。本月は久しぶりで『中公』など、なかなかデがある。自分の知らぬことばかりであるから。

○キクが黄色いバラをもって来て呉れる。二日かんの休で伊東へ、つとめ先の連中とゆき、始めて温泉、ゲイシャを見た。「マア、あんなに裾をひっぱっているんですねえ」

〔欄外に〕

○四時すぎ、フロから上って来たら、となりのバセドー氏の女のひとが部屋に来ていて、バセドーは狂気のようになる由。