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にっき
日記
宮本 百合子
20 一九三六年(昭和十一年)
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 15,424 字 · 32 页
四月十四日
いつ出せるか、未だ見当もつかぬ手紙である。書きたいことが、あまり沢山ありすぎて、文章却ってかたくなり、思うようならず。枚数が長すぎても行かないと思ったりして。
○イと八時から十二時頃まで話す。
○ケムプの第五(コンチェルト)をきいて来て、スエ子しきりに亢奮している。新響がまるでひどくて、うけられなかった由。ケンプの近代性はラジオでは分らない由。
○ス、私の肩に手をかけ、ゆっくり歌をうたいながら、さも心持よさそうに、人のいるのをわすれたように歩く。そういう心持。びっくりして見送るショファー〔運転手〕。
○麹町の木村やのカシ、コーヒー美味し。
〔欄外に〕
まことに珍しい晴天、この間うち小雨、大雨が降りつづいていたので、きょうの天気は人間を屋根の下にとどめておかぬ。
午後、湯、苅が揃って来たのでスと四人、弁慶橋から四谷への通りをぬけて散歩した。紀尾井町のところの左側の風景。なかなか面白し。東京の中にあんな城あと的春の景色があるとは知らなかった。
四月十四日記
昨年十月十五日から本年三月二十七日迄の間に市ヶ谷未決生活において読んだ本を思い出し、書いて置く。順序不同、