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ほんしゅうおうだん かんしゃくとほりょこう

本州横断 癇癪徒歩旅行

押川 春浪

「冐險世界 第四卷第拾貳號」博文館、1911(明治44)年9月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,749 字 · 45 页

青空文庫

(七)狡猾船頭

民心の腐敗その極に至れば、国家は遂に見苦しく自滅する他はないのだ。今日我国は貧乏にして生産力に乏しいというが、富力を増し生産力を高める余裕はまだまだ沢山ある。ブラブラ遊んで暮らすのを誇りとしている一部上流社会の奴原を初めとし、ろくろく食う物も食えぬくせに、汗を流して努力する事を好まぬ下等人士に至るまで、惰眠を貪りつつ穀潰しをやっておる者共は、今日少くとも日本国民三分の一位はあるであろう。願くは何か峻烈なる刺激を与え、鞭撻激励して彼等を努力せしめたならば、日本の生産力もまた必ず多大の増加を見る事は疑いを容れまい。こんな事は民力の発展などは眼中にない愚劣政治家共に話したとて分るまいが、真に国家の前途を憂うる人士は、大いに沈思熟考せねばならぬ問題であろうと思う。実に今日は、レオニダスのごとき大政治家出づるか、日蓮のごとき大宗教家現われ、鉄腕を揮い、獅子吼を放って、国民の惰眠を覚醒せねばならぬ時代であろう。区々たる藩閥の巣窟に閉籠り、自家の功名栄達にのみ汲々たる桂内閣ごときでは、到底、永遠に日本の活力を増進せしめる事は出来ない。

(七)狡猾船頭

思わず理屈を捏ねたが、この時は理屈どころではない。