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ほんしゅうおうだん かんしゃくとほりょこう
本州横断 癇癪徒歩旅行
押川 春浪
「冐險世界 第四卷第拾貳號」博文館、1911(明治44)年9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,749 字 · 45 页
ここでもまたまた雲巌寺へ何里あると問えば、
「そうさね、一里には近かろう」との答えだ。
「善哉! 善哉! この爺さん達はエライよ」と、一同はホッと一息。時刻は正午間近なので、朝飯の不足に腹が減って堪らず、ここは掛茶家ではないが、一同は御免候えと腰を下し、何か食う物は無いかと聴くと、何も食う物は無いが、焼酎に漬物位なら有るという。
「焼酎でも結構結構」と、焼酎五、六合に胡瓜の漬物を出して貰い、まだ一缶残っておった牛肉の缶詰を切って、上戸は焼酎をグビリグビリ、下戸は仕方がないので、牛肉ムシャムシャ、胡瓜パクパク。漬物は五、六杯お代りをすれば、もう一家中にあるだけ尽く平げてしまったので、今度は生の胡瓜に塩をつけて丸噛り。減腹に焼酎を呷った連中はフラフラして来る。吾輩も白状すれば大いに参った。
何しろ重い荷物を引担いで山道は迷う、炎天には照りつけられる、その上昨夜の睡眠不足も手伝って、一行は足の重きこと夥しく、些か意気消沈の気味にも見えるので、こんな事ではいかん、反対療法に如くは無しと、その実吾輩も大いに凹垂れているくせに、
「ここから雲巌寺まで約一里、クロスカンツリーレースを行ろうではないか」