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とうきょうじんのだらくじだい
東京人の堕落時代
杉山 萠円
「九州日報」1925(大正14)年1~5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,226 字 · 247 页
青春の享楽を先から先へ差し押える親
そんな親様がいくら意見したとて利く筈はない。
それでも親としてだまって頭を下げているのは、只お金の関係があるからばかりでなければならぬ。
青春の享楽を先から先へ差し押える親
明治時代の親たちが、大正時代の少年少女の気持ちを理解し得ないのは当り前である。「権利と義務は付き物」という思想では、「人間には権利だけあって義務はない」と思う新しい頭を理解し得られる筈がない。
今の少年少女にとっては、学校は勉強しに行く処でない。卒業しに行く処である。又は親のために行ってやるところである。も一つ進んで云えば、学資をせしめて青春を享楽しに行く処である。
親はそんな事は知らぬ。
早く卒業させよう――働かせよう――又嫁や婿を取らせようと、青春の享楽の種を先から先へと差し押えようとする。
少年少女はいよいよたまらなくなる。益家庭から離れよう、せめて精神的にでも解放されようとあせる。
華やかな、明るい、面白い、刺戟の強い、甘い、浮き浮きした方へと魂を傾けて行く。そうしていつの間にか不良化して行く。
親はこれを知らない。
現代の子女がどんな刺戟に生きているかを、明治時代の頭では案じ得ぬ。