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とうきょうじんのだらくじだい

東京人の堕落時代

杉山 萠円

「九州日報」1925(大正14)年1~5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,226 字 · 247 页

青空文庫

◇おことわり

彼は紅くなって頭を掻いた。

記者は、この恐ろしく単純な、且つ正直な不良美青年との約束を固く守ってやろうと決心した――神田の駿河台下で本紙を売っている、いないに拘らず……。

因に彼はその後、芝の或る製菓会社に這入ったと聞く。

◇おことわり

途中ではあるが、ここでちょっとお断りしておきたいことがある。ほかでもないが、この稿を書き始めて間もなくから今日まで、各方面からいろいろの言葉や手紙を記者は受けた。

その中には記者に対する激励の言葉……たとえば、

「この際東京に対する日本人一般の迷信を徹底的に打破せよ」

なぞいうのがあった。又は、わざわざ面白い且つ信ずべき材料を賜わった向きもある。

それ等の方々の厚意に対して、記者は先ず以て深甚の感謝の意を表する。

同時に批難の言葉も沢山あった。その一二例を挙げると、

「このような記事を生徒に読ませるわけに行かぬ」

というのや、

「あの記事があるために、毎日、非常な不愉快を感ずる。早くこの不良記事を紙面から葬れ」

というなぞが最も多かった。無論、こうした批難の方は大抵は匿名の手紙が多かったが、それでも相当の教育や責任を持った人々の言葉と受け取れるのが多かった。