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とうきょうじんのだらくじだい

東京人の堕落時代

杉山 萠円

「九州日報」1925(大正14)年1~5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,226 字 · 247 页

青空文庫

戦功に傲ってブル化しようとした義仲、義経を片っ端から殺してしまった。範頼もとやかく攻め亡ぼした。そこに頼朝の生真面目な性格がほの見える。彼のブル嫌い、都会嫌いの気持ちがあらわれている。

しかし、実朝に到って、源氏のブル化が次第に濃厚になって、遂に北条に亡ぼされた。

北条氏は頼朝の遺志を最もよく理解して、殆ど極端なプロ式武人政治を行った。しかし、高時に到ってブル化して亡びた。

それから後は、ブルに代るにブルを以てしたのみで、明治に入っては薩長土肥のブル思想は東京を濃厚に彩り、遂に今日に及んだものである。

彼等藩閥は初め、徳川のブル的腐敗を憎んで起った、地方的の勢力であった。「王政維新」なる標語の中には、そのような地方的勢力が懐抱する真実さが、底知れぬ程満ち溢れていた。

しかし、一度首都の地を踏むと、それ等の勢力の純真さ、熱烈さは、いつとなく方便化され、御都合化されて、結局、ブル生活の根底を培う腐土と化し去ったのである。

茲に於て読者は理解されるであろう。

日本の生命は首都には無くて、地方に在る。すべての地方の純美さ、真面目さが、日本の命脈を精神的にも物質的にも支持しているので、東京が日本を支持しているのでは決してない。