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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
02 第二部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 146,773 字 · 294 页
「ううん、どうもないんです。」
と、首を強く横にふった。お祖母さんもそれっきり默ってしまった。
茶の間で新聞を見ていた俊亮が、ちょっと台所の方をのぞいて、何か言いそうにしたが、思いかえしたように眼を天井にそらして、ふっと大きな吐息をした。
「次郎ちゃん、便所すました? まだ時間はゆっくりだぜ。」
恭一は、食事をすまして立って行こうとする次郎に言った。
「ううん、大丈夫。」
二人が家を出たのは、八時を十二三分ほど過ぎたころだった。中学校までは二十分とはかからなかったが、途中、西福寺によって、合宿の連中といっしょに行く約束になっていたのである。西福寺までは七八分だった。
「頭がいたいことない?」
恭一が家を出るとすぐたずねた。
「ううん、何ともないよ。」
次郎はわざと元気らしく答えたが、やはり耳鳴がして、頭のしんがいやに重かった。
西福寺の門をくぐると、もうみんなは本堂の前に出そろって、わいわいさわいでいた。権田原先生も、間もなく庫裡の方から出て来たが、次郎を見ると、
「どうしたい? 眼が少し赤いようじゃないか。」
それから、恭一を見、また次郎を見て、何度も二人を見くらべていたが、