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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

04 第四部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页

青空文庫

「僕は、道江さんが、どうせ馬田にねらわれているんだから、堂々とあたりまえの道を通る方がいいと思うね。」

「そうかしら。」

「まわり道なんかして、いたずらされたら、よけい世間にけちをつけられるよ。」

道江は答えないで敏子の顔を見た。敏子は、

「それもそうね。」

と、何度もうなずいた。そして、

「同じクラスの人が、あの村から一人でも学校に通っていれば、毎日道づれが出来るんだけれどねえ。……まさか、次郎さんに待ちあわしていただくわけにもいくまいし。……」

次郎はすこし顔をあからめた。が、すぐ思いついたように、

「僕、道づれは出来ないけど、見張りならやります。」

「見張りって、どうするの?」

「僕、馬田と同じクラスですから、毎日いっしょに帰ろうと思えば帰れるんです。」

「千ちゃんの方を見張るの? でも、橋から先はだめじゃない?」

「僕も橋を渡って様子を見ていればいいんでしょう。あれから村の入口までは見通しだから、大丈夫ですよ。」

「毎日そんなことが出来て? 千ちゃん、きっと変に思うでしょう。」

「そりゃあ、思うでしょう。」

「けんかになりはしない?」

「なるかも知れません。しかし、なったっていいんです。