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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
04 第四部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页
「僕、何だかわけがわからなくなった。もっとゆっくり考えてみるよ。」
「うむ、僕ももっと考えてみる。」
新賀が言うと、梅本も、
「そうだ。いそいできめることはない。おたがいによく考えてみるんだね。」
新賀は、次郎の気をひくように、
「どうだい、水をあびようか。」
三人はすぐ立ちあがった。次郎は裸になりながら、
「みそぎでもやるようだね。」
と、皮肉に笑った。すると梅本が、
「みそぎはまあいいが、みたまふりというのは実際滑稽だそうだ。」
「みたまふりって何だい。」
「みそぎのあとか先かに、静坐をして眼をつぶり、何か唱えながら、両手を組みあわして、ふるんだってさ。そのうちに、僕たちの学校でもそれがはじまるだろう。師範学校ではもうはじめたっていうから。」
三人は笑いながら流れに飛びこんだ。水は浅かった。深いところで腰の辺までしかなかった。それでも清冽な水と白砂の感触は、学校での今日の不快な印象を洗い流すのに十分役に立った。
次郎は何度も水にもぐり、息のつづくかぎり流れに身を任せた。彼は、そんなことをくりかえしながら、ひとりでめずらしく人生哲学めいたことを考えていた。しばらくぶりで、彼は、彼が兄の恭一や大沢といっしょに筑後川の上流をさまよって以来、彼の心を支配しがちであった「無計画の計画」