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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
04 第四部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页
の偶然に過ぎなかったとしても、決して軽視されてはならないことだったのである。
食事が終ると、また次郎の音頭で、鍋やその他の食器が階下に運ばれ、菓子袋がきちんともとの位置にもどり、土瓶が四五ヵ所に配置された。
やがて大沢が立ち上った。
「きょうはいつもとちがった特別の集まりなので、少し形式ばっているが、司会みたいなことを僕にやらしてもらいます。」
そうまえ置きして、彼は、まず、きょうの会合をひらくにいたったいきさつを述べ、俊亮の骨折と好意に対して深い感謝の意を表した。それから朝倉先生送別の辞にうつったが、彼の言葉は、じっくりと落ちついていた。激越な調子になりそうだと、しばらく声をのんで、自分を制するといったふうだった。その中で、彼はストライキ問題にもふれたが、その時だけは、声を大にして、次郎や新賀や梅本のとった態度を賞讃した。最後に彼は、さっき座敷できいた朝倉先生と俊亮との対話をひいて、つぎのように結んだ。
「いろいろの事情をのりこえて、人間の真実が終始一貫生かされて来たことは喜びにたえません。白鳥会員は、人間の真実を生かしたという点で、見事な勝利者であります。