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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

04 第四部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页

青空文庫

」

「これまではきまっていました。毎月第一と第三の土曜でした。」

「昨日は、しかし、土曜ではなかったね。」

「ええ、昨日は特別です。」

「特別というと?」

「朝倉先生の送別会でした。」

「すると朝倉先生もむろん列席されたわけだね。」

「そうです。奥さんにも来ていただきました。」

少佐は何かひょうしぬけがしたような顔をしていた。そして例の上眼をつかって、まぶたをぱちぱちさせていたが、

「すると、べつに秘密に集まったというわけではなかったんだね。」

次郎はちょっと眼を見張ったが、すぐ、

「ええ、朝倉先生には秘密だったんです。」

答えてしまって、次郎は自分の頬に皮肉な微笑がうかぶのを覚えた。

「朝倉先生に秘密っていうと。」

「先生は送別会なんかやっちゃいけないって言われたんです。」

「ふうむ、先生が? それはなぜかね。」

「なぜだか知りません。」

次郎は少佐をにらむように見つめた。

「しかし、先生に秘密で集まったのに、先生が列席されたというのは変だね。」

「僕の父が先生を夕飯にお招きしたんです。」

「なるほど、すると、ゆうべのことは君のお父さんの計画だね。」

「僕が父にそうして貰いたいってねだったんです。