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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
04 第四部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页
俊亮は黒田先生のあとについて、さわがしくなった廊下を通り、次郎の待っている室にはいったが、次郎はその時、窓の近くに立って外を見ていた。
「じゃあ、次郎、帰ろう。」
俊亮はそれだけ言ったきり、一ことも口をきかなかった。次郎も父の顔を見て、ただうなずいたきりだった。
間もなく二人は黒田先生に見おくられて玄関を出た。次郎は、方々からたくさんの眼が自分を見ているのを感じて、さすがにいい気持はしなかった。
校門を出ると、すぐ俊亮がたずねた。
「どうだった。最後の瞬間に動揺はしなかったかね。」
「そんなことありません。僕、黒田先生にかえって気の毒だったんです。」
「どうして。」
次郎は黒田先生との対話のあらましを話して、
「僕、先生にあんなふうに言われると、どうしていいかわからなくなるんです。」
「ああいう先生には、ミケラシゼロの鑿の必要もないというわけだね。ははは。しかし、あの先生は実際いい先生だ。おまえも気持よく学校にお別れが出来て、仕合わせだったよ。」
「父さんは校長にも会ったんですか。」
「うむ、会った。西山教頭や曾根少佐にもあったよ。」
俊亮はべつに校長室の様子をくわしく話しはしなかった。