轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页
加納は第二大隊の第八中隊、つまりどんじりの中隊なので、一番山の中の分屯隊に廻された。もう軍曹になっていたので、勤務としてはそうつらくない。
昭和十六年十一月、加納に第一野戦病院に転属の命令が来た。命令が来たと言っても、山の中だから直ぐには動けない。分隊長も有能な衛生下士官を離したがらない。すこしぐらい遅れても、大したことはなかろうと、のうのうと構えている中に、十二月になった。分隊所属の六号無線機が、英米に対する宣戦布告を傍受した。八日の夜中である。夜の十二時頃、分隊長は全員召集をかけた。加納も叩き起されて、布告のことを知った。
「その夜はよく晴れていてね、夜空にはきれいな月が出ている。体がぞくぞくするような寒さで、近くの山々で獣の夜泣き声が聞えたね。皆緊張して分隊長の訓示を聞きましたよ」
「どんな気持でしたかね?」
私は訊ねた。
「緊張というと、気分がピンと張るような――」
「ええ。それもあるけれどね、こちらはずっと霊丘県の山の中で、新聞も来ないしラジオもないし、いわばつんぼ桟敷に置かれているわけだ。内地にいるとは違うわけです。その点では分隊長もほぼ同じでしたね。