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ごくちゅうせいかつ
獄中生活
堺 利彦
「楽天囚人」1911(明治44)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,443 字 · 31 页
六 監房、夜具、食物
しかしまた、その時節というものがありますからな、そこにはまたいろいろな議論もありましょうが、ドウです時節ということも少しお考えなさっては」というのが予に対する教誨であった。なかなか如才のないことをおっしゃる。午後には無雑作にグルグルと頭を刈られた。これでまず一人前の囚人になった。
六 監房、夜具、食物
監房は八畳ばかりの板張りで、一方の隅に井戸側のようなものがあって、その中が低く便所になっている。一方の隅には水の出るパイプがあって、その下にチョイとした手洗鉢がとりつけてある。天井は非常に高く、窓は外に向って一つ、廊下に向って一つ、いずれも手のとどかぬところにある。朝早くなど、その窓から僅かの光線の斜めに射し入るのが、何ともいわれぬほどうれしく感ぜられる。
夜具はかなりに広いのが一枚、それを柏餅にして木枕で寝るのだ。着物は夜も晝も同じものでただ寝るときには襦袢ばかり着て着物を上に掛けろと教えられた。役に就く人には別に短着と股引とがある。
食物はずいぶんひどい。飯は東京監獄と違って色が白い。東京監獄は挽割麥だが、こちらは南京米だ。このごろ麦の値が高くなって、南京米の方が安く上るのだそうな。