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あきのかご

秋の駕籠

山本 周五郎

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1952(昭和27)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,356 字 · 35 页

青空文庫

中次はせっかちでもなく、悪くおちついてもいなかった。少し疳が強くて、無口で、怒りっぽいところがあった。怒るとむきになってどなった。暴力をふるうのが嫌いなので、いっそう激しくどなるようであった。

二人は与兵衛店の、堀のほうから数えて七軒めと八軒めに住んでいた。二人で七軒めにいるときもあるし、八軒めにいるときもあった。また七軒めと八軒めとに、分れて住んでいることもあった。分れているときは喧嘩をしているので、そうなるとお互いに口もきかず、稼ぎにも出ずに遊んでいた。しかしそれは長くは続かなかった。二人ともほかに友達はないし、これという道楽もなかった。将棋と釣りが好きであったが、それは二人いっしょでなければ面白くなかった。たいてい五日か七日、長くとも十日くらいで仲直りをした。仲直りをするとどちらかがどちらかと一緒になった。六助が中次のほうへ移ることもあるし、その反対のこともあった。そのためには、どっちか一軒はいつも空けておかなければならなかった。家主の与兵衛は初めのうちはこの関係を知らなかったので、或るときその一軒を貸そうとしたことがあった。すると二人がやって来て怒った。