轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちくはくき
竹柏記
山本 周五郎
「労働文化」労働文化社、1951(昭和26)年10月~1952(昭和27)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,798 字 · 91 页
一の一
一の一
城からさがった孝之助が、父の病間へ挨拶にいって、着替えをしに居間へはいると、家扶の伊部文吾が来て、北畠から使いがあったと低い声で云った。
「もし御都合がよろしかったら、夜分にでもおいで下さるようにとのことでございました」
訝しそうな眼を向けたが、孝之助は頷いた。北畠の叔母に関する限り、できるだけ話を簡単にするのが、長いあいだの習慣であった。伊部は、きょう一日の家事について、二三の報告をし、なお他に用があるかどうかを訊ねたのち、邸内にある自分の住居へ帰っていった。
着替えをして、脱いだ物を自分で片づけてしまうと、少しの遅速もなく、風呂を知らせて来た。彼は風呂にはいった。
五年まえに母が亡くなってから、五人いた女の召使のうち、浅乃だけ残して、ほかの者にはみんな暇をやった。浅乃はもう五十二になる。母がこの高安へ輿入れするとき、いっしょにつれて来て、もう二十余年になるし、身を寄せるところも無かった。それで、彼女だけは残したのであるが、母が死んだすぐあと、父の良平が卒中で倒れそのまま身動きもできない病床についたので、浅乃はその看護にかかりきりであった。