轻松读懂日语经典作品
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わらうあくま
笑う悪魔
野村 胡堂
「ロック」筑波書林、1948(昭和23)年12月~1949(昭和24)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,687 字 · 55 页
処女の願い
間もなく近所の医者が駆け付けて、傷いた美保子は隣の小部屋に移され、応急の手当を受け、主人熊谷三郎兵衛始め、三十人の客人、家の子郎党達は、ただウロウロと立ち騒ぐばかりです。
処女の願い
「どうだ、美保子さんは?」
小部屋から出て来た潮田春樹を、千種十次郎は廊下で捉えました。
「有難う大したことは無い様だ。心臓は無事だし、刃先が滑ったので、肺にも傷は付かなかったらしい、あんまり驚いて眼を廻したので、本人はひどく極り悪がっているが――」
「そんな事なら宜いだろう」
「ところで、妹はひどく君に逢い度がっているが、逢ってくれるだろうね」
「それは構わないが、――僕が逢っても宜いような容態か」
千種十次郎に取って、それはなかなか嬉しそうでした。
「医者も構わないだろうと言うよ、一と通りの手当はもう済んだから」
「じゃ、見舞って行こう」
二人は小部屋へ入って行きました。客用に使うらしく、小綺麗な寝台が一つ、椅子と小卓が配置されて、心持よく整って居りますが、寝台には今手当を終ったばかりの美保子が、びっくりしたような、――そのくせどっか淋しいような眼を見開いて、兄と、兄の友達の千種十次郎を迎えたのです。