轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
わかきひのせっつのかみ
若き日の摂津守
山本 周五郎
「小説新潮」新潮社、1958(昭和33)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,437 字 · 47 页
――あんなふうにやれたらな。
光辰はまたそう思った。簗にかかる鮎を手網ですくうように、さっと投げた投網できれいに魚群をあげるように。かれらをひと纒めに絡め取ることができたらな、と光辰は思った。
獲物の鮎が仮屋の前にはこばれ、光辰に披露された。その日の宰領は岡本太兵衛という物頭で、獲物の鮎は七十余貫といわれた。それから小酒宴が始まり、鮎の料理が配られた。鴨猟のときと同じ順序で、まず重臣たちに対する賜盃があり、こんどもまた望月吉太夫が、上段際まで席を進め、賀名川の鮎について説明した。――この川の鮎は香味が高く、姿がよく、美味なことで近国随一といわれ、漁期になると、この鮎のために廻り道をしてたちよる諸侯も多い。藩では姿のよいものを選んで、焼干しにしたり粕漬けにしたりして、将軍家へ献上し、また幕府閣老に贈って好評を得ている、などということであった。
光辰の膳にも塩焼と鱠が出た。初鮎にしては大きいほうだし、塩焼も鱠も極めてうまかった。江戸とは違って捕ったばかりだから、肉も緊っているし、骨は軟らかく、噛むと新鮮な川苔の香が鼻をつくように感じられた。けれども、焼いたのが二尾、せごしの鱠が一尾だけなので、光辰はすぐに喰べてしまい、もっと欲しかったから、箸を持ったままで民部に振返った。