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やぶのうぐいす
藪の鶯
三宅 花圃
「藪の鶯」金港堂、1888(明治21)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,356 字 · 65 页
お茶の御ぜんを焚いたから。お肚がへったら。おむすびにでもしてあげようか。
葦「ナニ何もいらない」と帽子と弁当をほうり出す。
秀「オヤオヤいけませんネー。あたしはこのショールを一つあむと。糀町の毛糸屋へいってこないではなりませんから。いつものように机を出して一遍さらっておいで。そして今におしえて下さい。
葦「アア。姉さんもう来月はおとっさまの三年になるねえ。りっぱにしたいねえ配り物でもして。
秀「だって御生前の御知己でお配り物でもするようなおうちがあるといいけれど。お国から出ると一昨年去年と引き続いて。おとっ様もおっか様もおなくなりになるし。国には遠い親類もあるけれど。国へかえればおまえもあたしも。ほんとの無学文盲になるから。なんでもあたしが一生けん命になって。東京でお前をえらいものにしたいと思っていますから。そのつもりで勉強して下さいヨ。あの宮崎さんはいろいろおせわにもなるし。親切にお店ちんまでやすくして下さるから。御命日にはおはぎでもこしらえて。もっていってもらおうと思っています。
葦「アア。そうして宅の公債証書はどのくらいあるノ。
秀「そうネー。千五百円ばかりあります。