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やぶのうぐいす
藪の鶯
三宅 花圃
「藪の鶯」金港堂、1888(明治21)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,356 字 · 65 页
第九回
すこしも望まんのサ。僕が好みの女房は。まんざら文盲でも困るが。婦人の美徳と称する従順の徳があって。少しく文字も読め斉家の道に勉力してもらいたい。弾ねた性質に世界の酸素を交ぜて。おてんばという化合物になったのなんざア好まない。いわば蹈舞の上手より毛糸あみの手内職をして。僕が活計を助けるというようなのがほしい。
斎宮「ナニ僕の活計だと。華族様などはとかくけちなことをいいたがるものだ。アハハハハ。
一同笑いになりたるとき。
船頭「八百松屋アー。
桟橋に茶やの女の下駄の音カラコロカラコロ。
女「おはようござりました。
第九回
篠原勤は英国ケンブリジの学校に螢雪の功を積み。ついに技芸士の称号を得。なお帰途欧州各国に歴遊し。五カ年の星霜を経てようやく帰朝せしに。養父は思いがけなく華族に列せられ。家の面目この上もなき重ね重ねのめでたさに。何不足なき身ながらも。かねてより結婚の約束ある。浜子のそぶりに何となく心がかりのこと多く。かなたにもとかくにうしろめだき風情ありておのれをはばかるさまあるは。何ようのことわけのありてかと。心をつけし折も折。ゆくりなく耳に入りし馬丁車夫の噂咄し。