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やぶのうぐいす
藪の鶯
三宅 花圃
「藪の鶯」金港堂、1888(明治21)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,356 字 · 65 页
第十一回
家屋敷までもいつのまにや。抵当とやらんに質入れし。大金を借り出したるなどのことまでしれたれども。正ははやくも官を辞し。とくにお貞を伴ないて。いずかたへかちくてんしたり。浜子はなまじいに交際ひろがりしより。かかる評判も随いてたかければ。今さらほぞをかむのみにて。日々に涙にくれいたり。
第十一回
ちとおかけなさい。一ぷくあがっていらっしゃい。とよぶ女の声。こなたの角にはかけ合いに。万年働くかーめのっこ。きくはいのかめのこよりどったよりどった。とよぶ声いともかしましき。滝の川の秋の暮。人もようよう散れかかる紅葉のかげのかけ茶屋に。しばしやすらう二人の男。人品いやしからざるが。立ち上りながら。
男「篠原君すこし向うの方へブラブラしちゃアどうだ。君は尊大人のおなくなりなすってからは。めっきりどうも体がよわったようで。気が引き立たぬからいけない。そりゃア気のすまぬところもあろうが。どうもなったことならしかたがないサ。はま子さんも断然さとって。実に今は後悔のようだ。僕も昨日横浜に用があったからおたずね申したら。実に面目ないといって涙ぐんでの咄しも。実に真成のクリスチャンになりきってしまって。