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うしすてばうますてば
賤民とは何か
喜田 貞吉
喜田貞吉『賤民とは何か』。同一底本的分册已合并为一书。收入:牛捨場馬捨場、旃陀羅考、賤民概説、特殊部落ということについて、放免考、濫僧考、濫僧考補遺。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,870 字 · 229 页
朝廷の大官を始めとして、貴族等ひとり専横を極め、荘園の名の下に天下の田園を壟断して、国政を顧みず、上に見習う地方官は誅求を事として、私腹を肥すことのみに汲々とし、下積みになった平民は口分田の班給にもあずかることをえず、その多数が農奴の状態に堕ちてしまったのであった。
かくの如くにして地方政治は紊乱の極みに達し、生活に安んぜざる庶民階級の人々は、課役を避けて逃亡するものが多く、盗賊到る処に起っても、国司にはこれを鎮圧するだけの実力と誠意とがなく、人民は国家に依頼して、その生命財産の安全を保護してもらうことが出来なくなった。ここにおいていわゆる武士なるものが起って来るのである。微力のものは有力者の下に属して、その保護を受けねばならぬ。有力者は多くの部下を擁して、自ら護るの途に出る。その有力者もさらに一層有力なるものの部下に属して、自己の勢力の拡張を図る。ここに複雑したる主従関係が生じて来る。もちろん乱れたる世の事ではあり、国家の軍隊警察その用を為さぬ際であったから、彼らは自然武芸を錬磨して、自ら衛るの必要があり、ここに国法以外の私兵が生じた。これすなわち武士である。