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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

227 怪盗系図

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 157,440 字 · 313 页

青空文庫

平次の論告は整然として、まさに一分の隙もありません。

「それが、どうしたというの。銭形の親分」

お栄は少し捨て鉢になりました。こうまでも念入りに追及されると、我慢にも化の皮を着通せる自信がなくなります。

「それだけのことだよ。お前が近江屋の姪といっていた、お栄でありさえすればそれで宜いのだ」

「親分、それだけじゃないでしょう。私がお栄だったら、まだいうことがありゃしない?」

「その通りだよ。お前がお栄とわかれば、お上から預った十手捕縄の手前、おれはここでお前を縛らなきゃならない」

「私を縛る?」

「小僧の定吉に手伝わせて――あの定吉は十四、五に見えているが、本当はもっと年を取っているだろう。十六かな、十七かな、お前はあの小僧を道具に使って、いろいろの悪事を重ねた」

平次はなおもこの論告を続けるのです。

「お前は仲間の者を騙して、近江屋にある金を谷中の五重の塔に移させ、そこで山分けにするといったに違いあるまい。――が考えるとその金が惜しくなった。――色気づき始めた小僧の定吉を手伝わせて、まず近江屋半兵衛を殺した」

平次のこの推理は、いつぞや八五郎に説き聴かせたことで、平次は近江屋の事件のあった時、早くもこのいきさつを見破っていたのです。