轻松读懂日语经典作品
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
227 怪盗系図
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 157,440 字 · 313 页
平次もこの相手の名には少し驚いた様子です。殺された近江屋半兵衛の、姪だか妾だかは知りませんが、兎も角も滅法仇っぽくて、魅惑的で、愛嬌がポタポタこぼれそうなお栄が、少しタガの緩い八五郎に頼みごととは聴き捨てになりません。
「ヘッ、まア、口説いたようなもので」
「バカ野郎、もう少し顔の紐を締めて物をいえ。涎が落っこちそうで、聴いている方が楽じゃないぜ」
「そのお栄がね、怖くて淋しくて死にそうなんですって。また昨夜のように、宇八がやって来て、力ずくで手籠めにするかも知れず、伯父の半兵衛や、本所の定五郎を狙った手が今度は私に何うかしないものでもない。小僧の定吉は本所の家へ帰ったきりで、初七日が過ぎなきゃ来てくれそうもないし、済まないけれど当分の間、近江屋へ来て泊ってくれまいか、精一杯御馳走もするし、事と次第じゃ八五郎親分に口説かれても宜い――と」
「バカ野郎」
「行って泊ってやっちゃいけませんか、親分。折角の頼みだから」
「呆れ返って物がいえねえ――が待てよ――それ程のことをいうのは、何にか思惑があるのかも知れない。随分行って泊ってやるのも面白いだろうな」
「宜いんですか親分」