轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いんじゅう
陰獣
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1928(昭和3)年8月増刊~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 66,968 字 · 131 页
これは先にも云った通り、偶然にしては余りに偶然過ぎる、二つの品物の一致ではなかったか。大江春泥と小山田六郎氏とが、飾釦のマークまで同じ手袋をはめていたということは、しかもそのとれた金物とホックの坐金とがシックリ合うなどと云うことが、考えられるであろうか。これは後に分ったことであるが、私はその手袋を持って行って、市内でも一流の銀座の泉屋洋物店で鑑定して貰った結果、それは内地では余り見かけない作り方で、恐らくは英国製であろう。R・K・BROS・CO・なんて云う兄弟商会は内地には一軒もないということが分った。この洋物店の主人の言葉と、六郎氏が一昨年九月まで海外にいた事実とを考え合せて見ると、六郎氏こそその手袋の持主で、随って、あのはずれた飾釦も、六郎氏が落したことになりはしないか。大江春泥が、そんな内地では手に入れることの出来ない、しかも偶然六郎氏と同じ手袋を所有していたとは、まさか考えられないのだから。
「すると、どういう事になるのだ」
私は頭を抱えて、机の上によりかかり、「つまり、つまり」と妙な独言を云い続けながら、頭の芯の方へ、私の注意力をもみ込んで行って、そこから何かの解釈を見つけ出そうとあせるのであった。