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ゆきのうえのしも
雪の上の霜
山本 周五郎
「面白倶楽部」光文社、1952(昭和27)年3月~4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,586 字 · 50 页
ように、乱暴した者をみんな伴れていって、かれらに謝罪させたいと思うのです」
「かれらに、というと、その人足どもにですか」
「ええそうです、さもなければ私の気が済みません、これは単に金銭の問題ではないと思うんです」
言葉はやわらかいが、そう云い切った調子は烈しかった。青岳はあっけにとられ、やや暫く顔を見ていたが、やがて感嘆したように、悠くりと云った。
「貴方は珍しい人だ、初めて峠で会ってから、ずっと日常を見ているが、まことに当代稀なお人柄だと思う、しかし、少しばかり度が過ぎはしないだろうか、……正義感の強いのもいいが、雪の上に霜を加えるような努力は徒労でしょう」
「それは、……どういう意味ですか」
「まあお聞きなさい」青岳はなだめるような口ぶりで、「――私は仲山宿の騒ぎを知っています、或る者から告げられたのですが、その貴方がこの道場にいるとわかってちょっと面倒なことになりそうだったのです、それで私は、五人の者に会い、貴方の御性分をよく話して、かれらに了解して貰いました」
「あの連中に了解して貰ったのですって、……それはいつのことですか」
「貴方が稽古を始めてから、七日ほど経った頃でしょうか」