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ゆき

雪

中谷 宇吉郎

「雪」1938(昭和13)年 11月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,536 字 · 152 页

青空文庫

それでは次に、これらの多種多様な結晶がどれ位の割合で雑って降るか、どの結晶が一番多く降り、どの種類が稀であるかということを調べて置く必要がある。

雪の結晶の種類の図

「第32図」のキャプション付きの図

第32図

ところが、この仕事は実はなかなか大変な仕事なのであって、降雪中殆ど戸外にい続けて、適当な間隙をおいて雪の結晶を硝子板に受け、その種類を記載する必要がある。そのために十勝岳のような所では、零下十度以下の戸外で数時間もの連続観測をするのであるから、生易しいことではないのである。或る時などは、観測をし始めたら珍らしい雪が沢山降って来て、それが何時までも断続しながら続いて、とうとう十時間の連続観測をしなくてはならないことになってしまった日もあった。丁度一九三四年から三五年にかけた冬、関戸弥太郎君がこの仕事を引き受けてくれたので、一冬だけの資料は集めることが出来た。

観測は「精」と「粗」との二種に分け、「粗」の方は拡大鏡による肉眼観測であるが、「精」の方は顕微鏡を用い、一度に二、三十の結晶を硝子板に受け、その種類と数と同時に大きさとを記録することとした。