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こうやひじり
高野聖
泉 鏡花
「新小説 第五年第三巻」春陽堂、1900(明治33)年2月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,025 字 · 71 页
二十六
何じゃの、己が嬢様に念が懸って煩悩が起きたのじゃの。うんにゃ、秘さっしゃるな、おらが目は赤くッても、白いか黒いかはちゃんと見える。
地体並のものならば、嬢様の手が触ってあの水を振舞われて、今まで人間でいようはずがない。
牛か馬か、猿か、蟇か、蝙蝠か、何にせい飛んだか跳ねたかせねばならぬ。谷川から上って来さしった時、手足も顔も人じゃから、おらあ魂消たくらい、お前様それでも感心に志が堅固じゃから助かったようなものよ。
何と、おらが曳いて行った馬を見さしったろう。それで、孤家へ来さっしゃる山路で富山の反魂丹売に逢わしったというではないか、それみさっせい、あの助平野郎、とうに馬になって、それ馬市で銭になって、お銭が、そうらこの鯉に化けた。大好物で晩飯の菜になさる、お嬢様を一体何じゃと思わっしゃるの)。」
私は思わず遮った。
「お上人?」
二十六
上人は頷きながら呟いて、
「いや、まず聞かっしゃい、かの孤家の婦人というは、旧な、これも私には何かの縁があった、あの恐しい魔処へ入ろうという岐道の水が溢れた往来で、百姓が教えて、あすこはその以前医者の家であったというたが、その家の嬢様じゃ。