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かんしょうりょくなくしてしゅうじするなかれ
魯山人書論
北大路 魯山人
北大路魯山人『魯山人書論』。同一底本的分册已合并为一书。收入:鑑賞力なくして習字する勿れ、芸術的な書と非芸術的な書、習書要訣、書道習学の道、書道と茶道、書道を誤らせる書道奨励会、美術芸術としての生命の書道、よい書とうまい書、遠州の墨蹟、現代能書批評、高橋箒庵氏の書道観、陶磁印六顆を紹介する、能書を語る、墨蹟より見たる明治大正の文士、魅力と親しみと美に優れた良寛の書、牧渓の書の妙諦、柳宗悦氏の筆蹟を通じその人を見る、良寛の書。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,639 字 · 175 页
しかるに、かくの如き美術書である『大正名器鑑』に題する表紙の書である。それは坊間ざらに見る、僅かに数銭を投げうてば、たちどころに揮毫するところの版下書きの書ではないか。これが美術価値に乏しきはいうまでもないことで、すこぶる愧体を極むるところの書である。
もし夫れ高橋氏にして、多少でも書道に造詣があり、書を審美的に鑑賞し得る具眼の士であるならば、こんな失態はなかったはずであろう。前後十年の苦心の末、彼生涯の茶道感をひっさげ、彼の栄誉を一挙にかち得んとした『大正名器鑑』ではないか。この大著成るに及んで、最後の大切な表紙の題書を坊間の版下書きの書をもって満足するとはなにごとである。『大正名器鑑』を手にするとき、一番にこの本を傷つくる者は、表紙の拙い書である。かく高橋氏の書道観は盲目であるのである。
この際、高橋氏は書に対して無精心であるといいたいことであるが、事と次第によっては巨金を投じて代筆せしむることもあるのであるから、必ずしも無精心とはいい難い。それが即今茶道の識者であり、権威なるかの如く、その日常を粧うところの茶老箒庵氏であるがために、この書道の盲目は等閑に付し難いのである。