轻松读懂日语经典作品
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このこをのこして
この子を残して
永井 隆
「この子を殘して」大日本雄辯会講談社、1948(昭和23)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,102 字 · 203 页
日本は殺生は嫌いだと言ってねずみも殺さぬ人が多いが、死線にさまよう人間の子をかえりみる人はそれより多かったであろうか? 生き物をかわいがると言って、ねこを二匹も飼っている人は多いが、その人びとは、ねこよりさきに人間の子の宿無しを思ったであろうか? ……ねずみよりも手軽にあつかわれる人の子の生命、ねこよりもかわいがられぬ人の子? ――ただ両親がおらぬというだけのことで……。
そして住むに家なく街にさまよえば、目ざわりになるとて嫌われ、やっかい者だとて冷たい目で見られ、働けば、ヤミ行為だとて追われ、あげくの果ては、ならず者仲間と共に狩られ、捕らえられ、取り調べられ、いやおうなしに収容所へ入れられる。
――これではいくら素直な少年であっても、純真な少女であっても、悪くならずにはおられぬではないか?
さて、世間の人は、孤児は収容所へ入れるなり、身寄りが引き取るなりして、とにかく街頭から姿を消してくれさえすれば、孤児問題は解決がついたものと思いこんでいる。孤児に住む家を与え、着物を着せ、ひもじくないだけの食べ物をあてがってやれば、もうそれで充分だ、幸福になっただろう、感謝し奮発して偉い者になってくれるだろう、などと、ごく簡単に考えている。