轻松读懂日语经典作品
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このにぎりめし
この握りめし
岸田 国士
「日光 第三巻第一号」1950(昭和25)年1月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,649 字 · 27 页
「信濃屋さんの義侠心に訴えるか、警察の手に引渡すか、どつちかだよ」
「警察の方で立て替えてもらえるかね」
「多分そいつは無理だと思うが、本人の意志はどうなんだね」
「それがなんともはや、わしにはわからんのさ。昨夜から今朝にかけて、待て、待たんを繰り返すばかりだ。いつたい、何時まで待てばいゝのかと訊くと、奴さん、にやにや笑いながら、それが自分にも見当がつきかねると吐かすんだ。そんな法つてあるかね。え、増田さん、笑いごつちやねえよ。何かこれというもんを持つてるかつて訊くと、ふところから何を出したと思うね。手拭だかフンドシだかわからねえ煮しめたような切れつ端を出しやがつた」
「だがね、信濃屋さん、そんなに金のない客をどうして一と月も黙つて泊らしておいたんだい」
「どうしてつて、増田さん、そこが、つい、絵かきつてものを、信用しちまつたのさ。絵かきつていう前触れで、ピンと頭に来たのがさつきの話さ。なにしろ、家じや、絵かきを泊めるなあはじめてだからね。こいつは面白くなつて来たと思つたのさ」
「それが、そろそろ面白くなくなつて来た原因は?」
「煙草代を貸せ、が、毎日のようになつたからだよ。