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あわもりものがたり

『たぬき汁』以後

佐藤 垢石

佐藤垢石『『たぬき汁』以後』。同一底本的分册已合并为一书。收入:泡盛物語、岩魚、烏恵寿毛、越後の闘牛、岡ふぐ談、香熊、熊狩名人、猿ヶ京、支那の狸汁、しゃもじ(杓子)、食指談、純情狸、食べもの、飛沙魚、鯰、入社試験、魔味洗心、老狸伝、わが童心、ミミズ酒と美女。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,470 字 · 244 页

青空文庫

博士は、女性のようなやさしい謙遜の態度で語りだす。

アイヌの歴史は、熊の歴史であると言っていいほど、アイヌは太古から熊と共に生活してきた。アイヌの信仰は、この世の中の人間の国のほかに、神の国があるとしている。人間以外の動物はすべて神が変装して神の国から人間の国へ遊びにきたものと信じているのだ。熊も、狐も、兎もそれぞれの神が、獣のマスクをかぶり変装して、人間の国へ現われ出で、われわれにその肉と皮を贈物としているのだと信じきっている。

だから、神の贈物である獣を殺して食ったところで、神は満足にこそ思し召すが、決して怒るものではない。だから、アイヌは熊を神の化身と思っている。熊を祭ることが、神を祭ることだ。そして神を祭ったあとで熊の肉を煮て食う。これは、神へのお思し召しに添うものだ。

熊祭りのときに、アイヌは神前に一瓶の酒を供える。神は人間を敬う心を褒賞して、やがて一瓶の酒を十倍に増して、返してくれるのだと信じている。アイヌが小熊を愛する姿は、美しいほどだ。だが、山へ熊狩りに出ては、戦慄に値する勇敢さを示すのである。立ち向かってくる大熊に素手で抱きついて格闘する。