轻松读懂日语经典作品
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ゆうれいかしや
ゆうれい貸屋
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1950(昭和25)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,320 字 · 42 页
ゆう女は、岡持をあけてみせた。みごとな蒲焼の皿と燗徳利を三本、盃から箸まで揃っている。
「これあおどろきだ、大串のてえした鰻じゃあねえか、ずいぶん久しく食べねえから、見たばかりで腹が鳴りあがる、おっとおれが膳を出そう」
「いいから坐ってらっしゃいよ、そんなことは女房の役、男が手を出すもんじゃないの」
ゆう女は隅から蝶足を出して、手まめに岡持の中の物をそこへ並べて、そして差向いに坐り、徳利を持ってにっこり笑いながら、
「はいお一つ、冷でごめんなさい」
「どうもこれあ済まねえが、それじゃあ貰うか」
「遠慮することはなくってよ、おかみさんにしてくれればこのくらいのこと、毎晩だってしてあげるわ」
「それが本当なら願ってもねえが、まあおめえにも一ついこう」
「あら済みません、頂きます」
「思いざしだぜ」
「嬉しいことを云うわねこちら、それじゃあおかみさんにしてくれるの」
「そのつもりでさした盃よ」
「本気にすることよ、よくってこちら」
彼女はまた斜交いにこっちをじいっと見て、その艶然たるながしめのまま盃を唇へもっていった。さすがに辰巳の姐さんである。身ごなし眼もとの色っぽさ、つうと云えばかあとくる調子、すべてが職業的に洗練されていて、とうていお兼なんぞの比ではなかった。