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ゆうれいかしや

ゆうれい貸屋

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館、1950(昭和25)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,320 字 · 42 页

青空文庫

「そうだとも、うんと酔いねえ、酔ったらおれが介抱してやらあ」

「まあ嬉しいッ、こうなったら側へいくわよ」

立って来て、しんなりと弥六にもたれかかり、ぐいと肩で押しながら鼻声をだした。

「ねえあなたア、断わっておくけれどあたしとっても嫉妬やきなのよ、もしも浮気なんかしたら、とり殺すことよ、よくって、あなた」

「おどかすなよ、大丈夫、おらあ浮気なんかしねえから」

「おどかしじゃないわ、さっきも話したとおり、あたしあの薄情者をとり殺して、あいつの一家一族ぜんぶとり殺したんだから、とり殺すあてが無くって宙に迷ってるんだから、もしもあんたが浮気なんぞしたら、そのときはあたし」

「わかった、もうわかったよ、決して浮気なんざしやしねえから、そのとり殺すだきゃあ勘弁してくれ」彼は話を変えたくなったとみえて、「だがおめえこいつは、この鰻や酒なんぞは、どこでどうしたんだ」

「三十間堀の田川から持って来たの」

「持って来たって、そんなことして大丈夫か」

「大丈夫よ、田川くらいの店で、焼き残りに燗ざましの二本や三本なによ、それよりみんな寝ちゃってたから、これを持って出るのに苦労しちゃったわ」