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ゆうれいかしや

ゆうれい貸屋

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館、1950(昭和25)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,320 字 · 42 页

青空文庫

なにしろとり殺す一件があるから怖しい、汗だくになって説明し釈明した。お染さんも家主の捨てぜりふは聞いていたので、どうやら納得をしたらしく、やがてそこへ坐って、ほっと溜息をついた。

「そういうことなら、こんどだけは信用してあげるわ、だけど、……大家さんにああ云われてみれば、あたしたちもなんとか考えないといけないわね」

「かんげえるって、なにをよ」

「食べ物くらいは持って来られるけれど、まさかお金まで取るわけにはいかないわ、あんただってあたしに泥棒をさせるつもりはないでしょ、だとすれば店賃やなにか、どうしたって少しはお宝が要るじゃないの」

女は幽霊になっても女であった。弥六はいやな顔をした。またしても稼げと云われるはめか、こう思ったのであるが、ゆう女は辰巳の出身だけにやぼなことは云わなかった。

「そうだ、いいことがあるわ、あんた」

「断わっとくがおらあ働くのあいやだぜ」

「あんたは坐ってればいいの、まあ聞いて頂戴、こうなの」お染はいきごんだ顔で、「つまりひと口に云うとね、ゆうれいを貸す商売なのよ」

「ゆうれえを貸すって」

「世の中には、死ぬほど人を怨んでる者がたくさんいるわ、金の恨み恋の恨み、いろんな恨みからいっそ化けて出てやりたい、怨みのほどを思い知らせてやりたい、そう考えてる人がたくさんいるでしょ、そういう人にゆうれい